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【カオスの時代の未来学 3/3】株式会社エニタイムズ 代表取締役角田 千佳氏インタビュー「時代にあったつながりが 生きがいを創造する」

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個人のスキルを提供し合える「エニタイムズ」。自分の能力を活かした、新しい働き方を実現させるサービスは、コミュニティの中で人と人とをつなぐ役割も担う。代表取締役である角田氏に、現代にマッチしたスキルシェアサービスの実態について伺った。

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シェアリングエコノミーによる、人とのつながり

―事業を始めたきっかけについて伺えますか。
子供の頃から、発展途上国で情報や電気、水道といったインフラ作りも含めた「街づくり」の仕事をしたいと考えていました。その中でまずは日本から始めようと考え、今のご近所お手伝いサービスであるエニタイムズをスタートさせました。街づくりにおいては、地域や文化が違えば課題は異なるけれど、共通する部分もあると仮説を立てていて。日本では、高齢化社会や共働き世帯、単身世帯が増加しているにも関わらず、地域の人のつながりが希薄化してしまっています。その一方で非労働者人口や非正規雇用者人口も増加している。この二つの問題は、もしかすると多様な働き方を導入することで、相互に解決できるんじゃないかと思いついたんです。

―エニタイムズのサービスが新たな働き口を作り、人とのつながりを生み出すということですね。
はい。シェアリングエコノミーでは、必要なときに必要な人や最適な人に会えて、逆に時間があるときは自分が手伝いに行けます。つながりと言っても拘束された、ドロドロしたものではなく、今の時代にあった形の距離感だという点こそ、利点だと考えます。日本に古くから根付くシェアやコミュニティ文化

―日本と海外のアウトソースに対する感覚は異なるかと思いますが、実際「家事代行」に対する日本人の反応はどうでしょう。
現在、2万人程の利用者がいて約8割が東京の方です。ここ2、3年でマーケットも大きく変わり、やっと家事代行という言葉も使われるようになってきたかなと思っています。それまでは「家政婦さん」という言葉がよく使われていました。しかし、エニタイムズでは家事代行という言葉自体も使わないようにしています。家事代行という言葉は家政婦さんと近い印象で、敷居が高くて富裕層の方しか使えないイメージを持たれがちです。気軽に誰でも使えるという点に注力し、ちょっとした用事をお手伝いしてもらう「エニタイムズ」という概念を新しく作っている状態です。

―具体的にはどんなニーズが多いですか。
掃除案件が多いですが、今増えつつあるのは、家具の組み立てや語学系のレッスンですね。エニタイムズのスタートは家事代行が多かったのですが、そこからもっと多様なサービスに広げていければと思います。欧米よりも日本のほうがシェアリングエコノミーに対するハードルが高いと思われがちですが、一度システムができてしまえば、こういったサービスって実は日本のほうが広がる可能性もあると思うんです。日本には近所で回覧板を回したり、地域で助け合うような文化が根付いていますよね。一度同じコミュニティという意識ができれば、シェアリングサービスは一気に受け入れられると予想しています。生きがいと重なる新しい働き方

―実際に提供者や利用者とお話しされることもあるんですか。
私自身がエニタイムズを使っているので、掃除や家事をしに来てくださった方とよくお話しします。例えば、高校生の男のお子さんがいらっしゃる専業主婦の方は「家で掃除をしたり料理をしても特に感謝されないけれど、ここではすごく感謝をされる。その上お金までもらえて嬉しい」と仰っていました。他にも、娘さんが家を出られた主婦の方に「他にどんな仕事をされているんですか? 」と伺ったら、「保育園の送り迎えをしている。バスで移動するので運賃が高くつくけれど、本当に困っているママを助けられるだけで十分」と仰っていました。労働への対価として、お金よりも働きがいや誰かのために役立っているという認識が重視される、新しい価値が生まれているのです。アウトソーシングで代行会社に頼んでも、そんな考えは提供者側には薄いと思うんです。シェアリングエコノミーはそういった生きがいを生んだり、利用者は今まで抱え込んでいたものが楽になったりする経験ができたりと、生活を楽しく、豊かにしてくれるものだと思っています。また個人が評価されるビジネスなので、多様な働き方の提案につながると思っています。BtoCとかBtoBが主だった時代は、会社がないとインフラが整わず、常に会社に守られた中で個人は働いていました。しかし、こうやってテクノロジーやインフラが発達したことによって、会社に守られなくてもC to Cビジネスが成り立つようになりました。

―今後の展開について伺えますか。
地域につながりを作って街づくりにつなげるのが目的なので、その軸からぶれなければ、シェアリングエコノミー以外の事業にも積極的にチャレンジしていきたいです。エニタイムズは社名であると同時に「どんな時代、どんな状況、どんな場所でも、常に変化に対応したプラットフォームを提供し続け、生活を向上させていく」という弊社のミッションでもあります。その地域に住む人々をつなげて、良質なコミュニティや暮らしを実現していきたいです。
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ユーザーの中でも積極的に事業を広めてくれている「アンバサダー」を招き、今後についてミーティングすることも。

Pick up the project
スキルを教わるワークショップ
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フラワーアレンジメントが得意な方に、ワークショップを実施してもらい、スキルを教わることが可能。

旅行の間に頼む愛犬のケア
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信頼がおけるサポーターを選んで、安心してペットケアを頼むことができる。期間もオーダーによって様々。

苦手な料理をお任せする
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料理が得意なサポーターに、夕飯作りを頼める。レシピの内容も場所も、依頼者によって指定が可能。

お風呂掃除など小さな案件も
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掃除など、日常の何気ないものを仕事として依頼できる。暮らしの中で不便に思ってたことを解決できる糸口に。

角田 千佳(つのだ ちか)

株式会社エニタイムズ 代表取締役

新卒で野村證券に入社後、IT企業を経て「豊富な幸せの尺度を持った社会の実現」を目指し、 2013年に株式会社エニタイムズを創業。日常の家事、旅行の間のペットの世話、語学レッスンなどの「誰かに手伝ってほしいこと」と「自分が得意なこと」を気軽に提供し合えるサービスを展開する。

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