社会学者 古市憲寿氏/文化経済研究会 講演レポート

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第86回文化経済研究会のレポートをお届けいたします。第1部では、『絶望の国の幸福な若者たち』を代表に、テレビでも論客として活躍されている社会学者 古市憲寿氏にお話しいただきました。

■お金と幸せ、ある程度は比例
「実際お金があれば幸せで、ある程度は年収と幸福度は相関します。年収600万円ぐらいまでは世界的に見ても年収が上がるほど幸福度も上がるという統計があります。しかしそのあとはいくらお金があっても、その分無限に幸せになれるわけではありません。
逆に、アメリカのウォール街エリートと、アフリカのスラムにいる人、どっちが幸福かというと大抵スラム街の人の方が幸福度が高いという研究さえあります。
ウォール街にいるようなエリートたちは先のことを考えすぎる傾向があります。逆に、スラム街などその日暮らしをせざるを得ない人ほど生活満足度が上がる可能性があるんです。
日本の幸福度は年齢でU字を描き、若者は高く、中年層で低く、高齢者でまた上がる。高齢者の方が達観しているのは分かりますが、若者が高いのはどういうわけでしょうか。
アメリカやスウェーデンだと若い人ほど幸福度は低い。将来への期待があるがゆえに現状に満足しておらず、自分はもっと変わっていけると思っている。
昔は日本の若者もその傾向が強く、幸福度が低かったのですが今は高い。ということは、若者はもしかしたら社会はもうこんなものかなと思っているのではないか。ある意味では高齢者と同じような達観をしているのかもしれません」

■実は凄く恵まれている現代日本人
「ブータンの幸福度がいくら高いと言っても、我々はブータンの真似はできません。要するにそれは生活レベルを落とすということであり、昔の日本に戻れないのと同じ話です。1955年の殺人発生件数は今の約7倍。赤痢やコレラなど公害もあったし、マナーも悪かった。
日本ってもうダメなんじゃないかっていう悲観論は多いですが、個人にせよ社会保障にせよ、今現在の日本はまだ豊かな国であることは間違いない。
イギリスや北欧では病気をすると専門医に会うまでに1ヶ月かかります。日本ではすぐに診てもらえますよね。
でもそれとは別に今の日本の状況が危ないとすれば、少子高齢化は避けられないということ。日本が経済成長をしてこれたのは労働人口が多く、高齢者が少なかったという人口ボーナス期があったから。世界の経済成長は半分くらいが人口で説明できます。
労働力がたくさんいて、消費者としての若者も多いのでエンタメ産業も花開く。団塊ジュニアが20代だった90年代がエンタメ産業が頂点で、一番雑誌やCDが売れた時代です。95年には1900万人いた若者が2015年までに3割減りました。当然20代向けの商売は3割お客さんが減るわけで、これが「若者がものを買わない」と思われてしまう最大の理由です。「若者の○○離れ」など言われていますが、若者の消費マインドが変わったより、単に若者が3割減り、高齢者が増えたんです」

■どこかに希望はある
「暗くなってしまったので、明るい話もしましょう(笑)。日本がどんどん貧しくなって最悪の事態になっても昭和よりははるかにいい暮らしができます。
ここまで築いてきたインフラや文化はちょっとやそっとじゃなくなるものではありません。
先日日本一貧しい町の夕張に行ってきましたが、そこまで不幸そうでもなかった。どんどん高齢化が進んで、行政からの援助もなくなったものの、地域のNPOが映画祭を開いたり、街にはある種の活気がありました。
なんだかんだで生活は回っていくんですね。いろんな悲観論があるけれども、確かなことはこれまで人類が何とかやってこれたこと。移動も自由になってくるので、日本で自分がしたいことがやりづらければ海外に行くことは今まで以上に容易になるはずです。
そのあたりの選択の多様性が希望になると思います」

株式会社ジャパンライフデザインシステムズ
チーフエディター
小林 征夢

次回、文化経済研究会のお知らせ

20161121

2017年1月19日(木)
第87回 定期セミナー「次なる市場価値創造」
ゲストスピーカーにアソビシステム 代表取締役社長 中川 悠介 氏、グレイスワイン ワインメーカー
三澤 彩奈 氏をお招きして開催致します。

■開催日時:2017年1月19日(木)14:00~17:00
■会場:アイビーホール青学会館 3階「ナルド」(東京都渋谷区渋谷4丁目4番25号)

セミナーの詳細はこちら

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