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建築家 中村拓志が手がけた自然を感じる家。

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『カーサブルータス』2月号に2016年9月15日文化経済研究会でご登壇いただいた中村拓志氏のロングインタビューが掲載されていました。

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■人がいる建築
「人がいない静的な空間をいくら頑張って格好良くしても意味がないと考えています。人が集い、振る舞いが連鎖することで、喜びが立ち現れるような建物を目指しているのです。行動と感情の関係は興味深くて、感情から行動に移るかというと必ずしもそうではなく、例えば体を動かすと気分が高揚するようなことがあります」

中村氏が設計された羽田空港国際線第2旅客ターミナルでは、待合席の椅子の大きさをあえてまちまちにすることによって、旅行者がお互いの体の大きさや荷物の多さなどを思いやる相互関係が生まれるような仕掛けが施されています。
20世紀の建築の象徴とも言えるコンクリートの打ちっ放しは、やはり人体と調和せずあまり居心地のいい空間ではありませんでした。21世紀の建築はそれに気付き、産業革命以前にあったような建築と人体との関係を取り戻す運動が起こっています。
隈研吾氏の弟子でもありその流れを汲んでいる中村氏が、人体を立脚点とした建築を信条とするのは当然の歴史の流れなのかもしれません。

■虹が家族を繋ぐ
「虹をさがす家」では、プリズム状のガラスや、日時計のように季節や時間によって様々な光が入ってくる窓を設置することによって屋内に虹を呼び込みます。

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「虹がかかる光景に出会うと、誰かに伝えたくなる。「こんなところにも虹が出てきた!」と驚く施主からの報告は、〈虹をさがす家〉の狙い通り」

非日常があると、誰かに伝えたくなります。
「フォトジェニック」なアイコンをアピールして観光動線を作ることは、昨今のツーリズム業界の常識になっていますが、虹という非日常でフォトジェニックな自然現象を室内に取り込めば、SNSなどに頼る必要はなく同じ屋根の下にいる家族にそれを嬉々として報告します。
少々の夫婦喧嘩や親子喧嘩があっても、朝日や週末に差し込む日差しが作る虹がそれを和ませてくれる様子が目に浮かびます。

■アンビバレンツを結ぶ壁
「四周に隣家がひしめく旗竿地であっても、施主は庭と連続した明るい家を望んだ。このような場合、堀で囲まれたコートハウスとするのが定石だろう。しかしそれでは閉鎖的で風の通りが悪くなる。そこで中村は、南側の庭と隣地の境界に、プライバシーと風のぬけの両方を確保する「壁」をつくることで課題を解決した。

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ガラス繊維コンクリートで作る波形を組み合わせ、無数の穴を持つラジエータのような壁を特注。上部から微量の水を蛇行させながら落とすと、打ち水のような効果で心地良い風が生まれる」

確かにそこに壁は存在しているのにもかかわらず、それを感じさせないような壁。これもコンクリートとは対極です。
長い人類史の間で、ここ数世紀のあいだだけ忘れられていた自然と人体との関係が建築によって媒介されているような構図が、中村氏の建築からは読み取れます。

株式会社ジャパンライフデザインシステムズ
チーフエディター
小林 征夢

次回、文化経済研究会のお知らせ

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2017年1月19日(木)
第87回 定期セミナー「次なる市場価値創造」
ゲストスピーカーにアソビシステム 代表取締役社長 中川 悠介 氏、グレイスワイン ワインメーカー
三澤 彩奈 氏をお招きして開催致します。

■開催日時:2017年1月19日(木)14:00~17:00
■会場:アイビーホール青学会館 3階「ナルド」(東京都渋谷区渋谷4丁目4番25号)

セミナーの詳細はこちら

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