文経リポート2

文化人類学者 竹村真一氏/文化経済研究会 講演レポート

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3月16日に行われた第88回文化経済研究会、第1部では文化人類学者の竹村真一氏がご登壇しました。
竹村氏は、リアルタイムに宇宙から見た地球を映し出すタンジブルアースという作品(画像左画面参照)を用いて、グローバル人材のより感覚的な育成を目指されます。

■グローバル人材=球を考える
「グーグルアースで地球の表面を眺めることはできますが、この「触れる地球」であれば、地球のどのあたりに朝が来ているのかがすぐにわかります。
現在は銀座ソニービル6階の展示(〜3月31日)に来ていただければ、「触れる地球」を体験していただけます。例えば今は14時なのでドバイあたりの朝焼けや、ケニアで水辺に集まっている像、雲や台風などが衛星から送られてきて見ることができます。
17歳以下の子供たちは、2000年代に生まれた新たな世代ですが、未だに織田信長の時代に作られたメルカトル図法で社会科を教えられています。
グローバルというのはこの「地球」「球」のことなので、球という考え方を教えなければグローバル人材にはなりません。球体の上で自らが生きているという実感があってこそです。
台風は災いをもたらしますが、適度に海をかき混ぜ深層のミネラルを持ち上げてきてくれます」

「海底は海洋生物の墓場で、積もった死体が栄養素となります。北の海水は表面が冷やされて重い海水となり、豊かな栄養がたまっている。
今自然保護ということが叫ばれて久しいですが、単純に災害や温暖化を否定するだけでもいいのか。
本当に地球は豊かなシステムでできているのに、これが21世紀のグローバル人材育成の時に考えられていないのが非常に残念です。できるだけ小学校の時にこういった視点を教えて欲しい。算数国語理科社会という4教科を算数国語理科地球というふうにしたい。東京都の観光課にも働きかけをしています」

■環境問題と平和問題を一体に
「シリアのISの台頭の遠因は北極の温暖化とも言えます。偏西風と呼ばれる新幹線並みの速さのジェット気流が北極圏に吹いており、それが気候を保っていました。
しかし、北極が温暖化したことで、ジェット気流がゆるやかになり、普通モスクワぐらいしかこない寒波が南下する異常気象を招きました。
それがロシアやウクライナの穀物生産に打撃を与えたことで、そこからの輸入に頼っていた中東の食糧事情が滞り、ムバラク政権やアサド政権への批判が高まって起こったのがアラブの春です。その混乱に乗じてISが台頭しました」

「世界平和を考えるときにも、地政学や経済学だけではなく、地球環境ということを無視することはできません。人生のベースは水や食料、それらをラディカルに考え、地球の感覚に合わせてどうしていくかを思索するリテラシーが必要です」

■人類が直面するチャンス
「人類の歴史において革命や革新、国家の革命が起こった時代はどれも気候変動の時代です。人間、環境が良い時はあまり変わろうとしません。CO2の問題など、現在我々が抱えているリスクを正面から見据えて人類全体に広げれば新しい段階に進めます。
中国とアメリカが第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)のパリ協定にいち早く批准し、2060年までにCO2を半減させるということに合意しました。CO2を最も排出している中国とアメリカが、10年前には考えられない方向転換をしたわけです」

「これまで、生命が地球のシステムを変えたことは多くありました。例えば地球上にここまで酸素が広がったのは植物のおかげです。人類が植物とは違うところは、自らが地球を変えているということを認識しているという点です。
だからこそどのような方向に向かっていくのかというナビゲーションをしていくこともできる。人類全体で考えなければならない問題に対して、私は今後も活動を続けていきます」

株式会社ジャパンライフデザインシステムズ
チーフエディター
小林 征夢

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