文経リポート3-2

歌手「IMERUAT」ボーカル 酒井 美直氏/文化経済研究会 講演レポート

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3月19日文化経済研究会、第2部はIMERUAT(イメルア)ボーカルで舞踊家の酒井美直氏がご講演。酒井氏はアイヌ民族の父を持ち、AINU REBELSやIMERUATのボーカルとして活躍する他、各地で講演活動も行なっています。

■日本語の中のアイヌ
「アイヌとは、今は民族名になっていますがもともとのアイヌ語では「人間」「男」などの意味です。
2008年、国連などで先住民の権利に注目が集まっていた時期に、アイヌが日本の先住民族であるということが日本の国会決議でも承認されました。
昔は狩猟採集民族でしたが、今で言う国際交流も盛んにしていた民族で、樺太、ロシア、中国、日本と交易をしていました」
「文字がないので、ほとんど言葉は残っていませんが、トナカイやラッコなどはアイヌ語ですし、雑誌の『ノンノ』はアイヌ語で「花」という意味、札幌は「サッ・ポロ・ペ」、軽く大きい川という意味でした」

■残存する「アイヌ感情」
1854年から日露和親条約締結が結ばれ、アイヌは日本領となりましたが、アイヌ感情という独特の意識が芽生えていきます。

「交易でも、アイヌに不利な条件や交換が当たり前になっていきましたが、力関係的に何も言えない。北海道に商人が入植してアイヌを労働力として奴隷のように扱っていく支配が始まり、アイヌ語や文化などが規制されていきます」
「それがやがて内面化し、アイヌ自身も自分たちの民族文化は恥ずかしいものだというアイヌ感情という意識が生まれてしまいます。
周りからの否定によって自分自身も、自分が劣っていると思ってしまう。それで後世に伝えることをやめてしまった文化や意識、価値観があります。
最近でこそ変わってきたものの、アイヌ民族は彫りが深く一目で分かるので、どことなく触れてはいけないような特異な扱いを受けました」

■民族性と表現
「アイヌの伝統舞踊を仲間と踊るのは楽しかったのですが、観客の中に知っている人が居るのは避けたかったので地元では披露せずに首都圏の発表会や大会に出ていたぐらい、自分がアイヌであるということを意識していました。
でも高校生の時にカナダを訪ね、カナダの先住民族と交流する機会があった時に意識が変わりました。彼らはカナダ西海岸の先住民族の若者は自分の民族名をタトゥーで体に刻むほど、自民族に誇りをもっており、アイヌであることを隠そうとしていた私からすると考えられないことでした。
でももしかすると、アイヌ民族ということも他者から見ればカッコいいのかもしれない、民族の刺繍も素敵なのかもしれないと思い直し、アイヌ文化をコンセプトにしたバンド「AINU REBELS」を結成しました。
アイヌ社会において、アイヌの若者が自分の文化を発信するということは前代未聞だったので衝撃的だったようです。
そこから講演にも呼ばれるようになり、数年間はその活動を続けていました。しかしあまりにも凄いステージを用意されることも多く、私からアイヌを取ったら何が残るのかを考えるようになり、
新たに結成したユニットIMERUATでは、アイヌという背景もありつつ、それだけではないアートやエンタテインメントの力を磨いて、表現者としての成長のために日々邁進しています」

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