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「社会構想」というアポリアを抱きながら 望月照彦

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「哲学と思想の不在」がすべての根本原因とつながっています。フランスのベルナール・スティグレールという哲学者は、産業革命以降の産業技術の難問が今でも続いているといいます。産業革命で機械化が進んだということは、人間が持っている「創る力」を失わせてしまうことにつながるのではないかという疑念を持っています。
 日本の社会構造において大きな力を持っているのが暗黙知です。職人の極みである精巧な技能は「暗黙知」という力で、これは機械がどれほど発達しようとも神に代わるような人間の力にはかなわない。その暗黙知がなくなってしまったら、未来の文明が崩壊してしまうと言っても過言ではありません。個々のアイデンティティーはもがき苦しんだ末に生まれてくるものです。つまり、個人的経験が非常に大切になります。しかし、今はその実体験の苦しみも失われています。
 京都には、東京にはない「哲学の道」があります。アポリアに対して解決の糸口を探っていくためにも、日本の多くの人が自ら考え、自分で構想力を培っていくような「道」や「庭」が大切だと私は思っています。そこで自分自身のアポリアについて深く考えるようなモチベーションを作ることが大切なのです。
[2015年8月1日発行『構想の庭』第1号 再録]

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望月照彦(もちづきてるひこ)
1943 年静岡県静岡市(元清水市)生まれ。1979年望月照彦都市建築研究所を設立。多摩大学経営情報学部教授、 同大学院教授を経て、現在、構想博物館の館主を務める。エッセイスト。『商業ルネッサンスの時代』(ダイヤモンド社)、『都市民俗学講座全5巻』(未来社)、『センス・オブ・ハピネス』(日本紀行)など多数。

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定価:1,000円+税
判型:新書判 並製本  総頁数:304頁
発行:LIFE DESIGN BOOKS

情報社会から「情緒社会」への転換 /月尾嘉男
気持ちを突き動かす「ファッション化」の未来 /浜野安宏
ノックしないドアは開かない /水野誠一
日本の滅び方 /上野千鶴子
「社会構想」というアポリアを抱きながら /望月照彦
プラチナ社会への挑戦 /小宮山宏
「おもろいこと」が世界を変える /山極壽一
微力だけど、無力じゃない。/田中康夫
水の国を考える /嘉田由紀子
「移動と交流」が開く新時代 /寺島実郎
「多様性」の再検討と社会的イノベーション /井関利明
ファインダー越しに見える「美」のエネルギー /遠藤湖舟

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