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「おもろいこと」が世界を変える 山極壽一

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 今、大学に課せられたミッションは長期的な視座を持った「未来人材」を育成することだと思っています。今、世界は地球資源が有限であることに気づき、閉塞感の中にいます。今こそ、進化という視点で人間はどのような能力を持っているか改めて考えるべき時です。
そもそも現代人が楽しんでいる野球やサッカーは、それ自体を目的として進化した能力ではありません。人類は、猿人から約700万年の時を経て、様々な能力を手にしてきました。それは現在のように近代的な機器を応用する能力ではなく、生身の体で自然と接していく能力です。つまり、別の目的のために進化した能力が、今の暮らしの中で応用されているということです。5~10数万年前に人は画期的な知恵となる言葉を得ました。しかし、現代の社会ではSNSの普及とともに感情を逆なでするような言葉の暴力に晒されています。
 しかし、いまさら後戻りはできません。IT技術と賢く付き合っていく必要があると思っています。バーチャルと身体を一体化させることで人は命のつながりに快感を覚え、人間の生きるエネルギーに転化させています。今、IT技術に求められる課題とは人にどういう幸福感を与えられるかだといえるでしょう。そういう生きるためのエネルギーとなる「おもろいこと」が発想できる「未来の人材」を大学で育てていきたいと思っています。
[2016年4月1日発行『構想の庭』第2号 再録]

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山極壽一(やまぎわじゅいち)
1952年東京都生まれ。日本のゴリラ研究の第一人者。京都大学理学部卒、同大学院理学研究科博士課程修了。カリソケ研究センター客員研究員、京都大学大学院理学研究科助教授を経て、同研究科教授。2014年10月から京都大学総長、現在に至る。近著に『父という余分なもの−−サルに探る文明の起源』(新潮文庫)ほか多数。

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定価:1,000円+税
判型:新書判 並製本  総頁数:304頁
発行:LIFE DESIGN BOOKS

情報社会から「情緒社会」への転換 /月尾嘉男
気持ちを突き動かす「ファッション化」の未来 /浜野安宏
ノックしないドアは開かない /水野誠一
日本の滅び方 /上野千鶴子
「社会構想」というアポリアを抱きながら /望月照彦
プラチナ社会への挑戦 /小宮山宏
「おもろいこと」が世界を変える /山極壽一
微力だけど、無力じゃない。/田中康夫
水の国を考える /嘉田由紀子
「移動と交流」が開く新時代 /寺島実郎
「多様性」の再検討と社会的イノベーション /井関利明
ファインダー越しに見える「美」のエネルギー /遠藤湖舟

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