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自己投資の時代 LIFE DESIGN CONCEPT 谷口 正和

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今、世界は人生100年時代というまだ見ぬ未来の前に立ちすくんでいる。
足跡のないまっさらな平原の中、突如現れた巨大な障壁は我々の行く手を阻む。
未来を見据え、混沌とした社会に対して勇気を持って立ち向かうすべての人に捧げる。

エイジングをポジティブに捉える発想を

 日本は今、少子高齢化、人口減少問題など、多くの課題に直面し、誰も見たことのない光景が眼前に広がっている。
 総務省によると、2016年9月現在、日本の65歳以上の人口は3461万人で総人口に占める割合も27.3%に達し、人口、割合共に過去最高を記録した。そして、2020年には女性の過半数が50歳以上となり、出産可能な女性の数が大きく減ることが予想され、2026年には日本の人口が1億2000万人を、2048年には1億人を割るといわれている。この解決の糸口すら見えない高齢化の問題は、社会の停滞感、閉塞感となって日本社会を不安にさせている。
 この閉塞感を打破するためには、〝長寿を価値づける社会〞への転換が必要だ。課題を従来通りに捉えていては、いつまでも新たな未来は見えてこない。少子高齢化、人口減少などの問題を素直に受け入れ、エイジングをポジティブに捉える着想こそ、未来へと踏み出す第一歩といえるだろう。

好きを「学び」のパワーに

 江戸の儒学者、佐藤一斎は、『言志四録』において「少にして学べば、壮にして為すこと有り。壮にして学べば、老いて衰えず。老いて学べば、死して朽ちず」と記している。己を磨くことが人生を豊かにし、死後までも豊かにしてくれることを説いたこの句に学ぶべきところは多い。
 人生100年時代を迎え、生活者は膨大な時間を手にした。そのあり余るほどの時間に人は、希望を見出す。「好き」なことに絶対時間を費やし、それを突き詰めていく。これは、高い専門性に加え、社会にイノベーションという変革をもたらしてくれるだろう。
 加えて、情報化社会の到来は、個人による情報の受発信を活発化させ、価値の多様化の扉を開いた。発表と評価の場を得た生活者は、互いに交流しあい、さらに学習することで、ますます「好き」に磨きがかかっていく。この潮流は、社会から押しつけられた価値観ではなく、生活者自らの手によって作り上げた価値観として、現代社会を再構築していく。今こそ、生活者と共に100年のライフデザインを描いていこう。

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谷口 正和 マーケティング・コンサルタント
株式会社ジャパンライフデザインシステムズ 代表取締役社長

1942年生まれ。武蔵野美術大学造形学部産業デザイン学科卒業。生命、生活、人生の在り方を問う「ライフデザイン」を企業理念そのものとし、コンセプト・プロデュースから経営コンサルテーション、企業戦略立案、地域活性計画まで幅広く活動。日本デザインコンサルタント協会・副代表理事、日本デザイン機構・理事、日本Webソリューションデザイン協会・顧問、日本小売業協会・生活者委員会コーディネーター、豊の国商人塾・塾頭、石垣市観光アドバイザー、立命館大学大学院経営管理研究科教授(2003年4月~2013年3月)、武蔵野美術大学評議員を務める。

<2017年9月25日発行の『Life Design Journal vol.11』より>

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