文経リポート12A

文化経済2017.12月 講演レポート①/佐渡島庸平氏

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12月7日に行われた第92回文化経済研究会、第1部は株式会社コルク代表取締役社長の佐渡島庸平氏にご登壇頂きました。

次々と起こる技術革新によって、コンテンツ産業を取り巻く状況が激変する昨今。そんな激動の産業において、「作家エージェント業」を立ち上げた佐渡島氏がコルクを通して、何を考え、何を成そうとしているのか、お話を頂きました。

コンテンツにも、ワインのような価値尺度を

社名の「コルク」は、ワインのコルクに由来しています。価値あるヴィンテージのワインが現代に残されるのも、コルクでしっかりと栓がされてこそ。そして時を経たワインは「誰が、いつ」作ったかによって、価値が大きく変動します。

ところがコンテンツの世界では、そうはいきません。例えば、200万人の読者が待望する大御所作家の単行本と、新人作家の単行本、この価格はいずれも同じ。どのような時代に作られたものかも、一切関係ありません。価格に差が出るとすれば、判型や頁数など、物理的な要素が主。コンテンツには「誰が、いつ」という尺度が、これまで存在してきませんでした。

佐渡島氏はこの尺度をコンテンツにも導入するため、大手出版社から独立し、株式会社コルクを起業。いいコンテンツを後世に残すことで、さながらワインのように価値が高まるようにする。作品にとっての「コルク」になりたいと、佐渡島氏は挑戦を始めました。

世界基準のルールで戦う

日本には、タレントのエージェント業はありながらも、小説家や漫画家など、クリエイターのためのエージェント業は存在していませんでした。

「作家が世に出て行こうとすると、世界では必ずエージェントがついていないといけない。そういう仕組みになっているんですね。日本だけがその仕組みに乗っていなかった。日本のコンテンツがこれから世界に出ていかなければいけないという時に、エージェントという世界基準のルールでやっていこう、そういう風に思ったんですね」と佐渡島氏。

「2000年と比べて2020年には情報量が約6000倍になると言われています。その中に1つのコンテンツを投げ込む時代です。このような時代にコンテンツの価値が誰が決めるのでしょうか。これまでは『出版社の関門を突破した』という裏打ちがありましたが、今はネット上で誰もがコンテンツを発信出来てしまう。それを誰かが裏打ちしていかなければならないんです」

ソムリエが1本のワインについて語ることで、そのワインの価値が決まる。コンテンツにもそうした時代が訪れるだろうと佐渡島氏。作家エージェント業を通し、そうした時代を実現しようとしています。

「思い」を形にして売る

例えば漫画作品。従来では、圧倒的な人気作でない限り、利益の面からグッズ展開出来ないという状況が続いていました。そこに佐渡島氏は、「クリエイターの頭の中をパブリッシュする」という概念を持ち込みます。

「一瞬でその価値が分かるものがブランドだと思うんです。売れる作品には作家の個性が出て、世界観が内包されています。僕たちは、その世界観でブランドが作れると考えました」と同氏。

先ほどのグッズ展開で言えば、作品のイラストをプリントしたような表面的なグッズではなく、コルクでは「作中に出てくる、出てきそうな商品」を企画し、商品化。作中の重要なシーンでキーアイテムとなるようなものを、現実に作ってしまう。この方法論で、コアなファンにグッズが爆発的に売れたと言います。

「低価格で、デザインが当たり前のように優れている時代です。僕たちはデザインではなくて、作品の中のどういう感情を再現できるのか、そこに着目しました」

価格とデザインの時代が終わり、そこに感情を喚起されるストーリーがなければならない時代になったと、佐渡島氏は断言します。

日本で初めての作家エージェント業。様々な挑戦を繰り返し、世界基準で、不朽のコンテンツを世に送ろうとする佐渡島氏とコルクの構想をお話し頂きました。

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